難しい歴史書を手に取る前に。
都市シリーズ三部作の、三作目。 高級娼婦オリンピアの過去が明らかになる。このシリーズは、ヴェネツィア共和国の名家の出身マルコ・ダンドロと、オリンピアの関わりを中心に、マルコの目で見た、実際に体験したことを、最近あったことのように、生き生きと描いている。 マルコの、見事な観察眼は筆者の目でもあるからだろう。 古代という大きな遺産を抱えたローマで、マルコの目は私たちの目にもなる。 ミケランジェロとの遭遇、老人とともに歩く遺跡群、政治から離れた彼は、実にのびのびと、趣味の世界に浸る。 面倒くさい歴史書、色話に陥りがちな興味本位の歴史本に比べれば、誰が読んでも、すんなりとルネサンス世界に入っていけるだろう。 しかし、彼の方も周囲も、共和国の政治から彼を放っておくわけはなかったが・・・。 衝撃を抱えてローマを去るマルコ。次回作を期待する。
三冊とも読んでください
この本は、緋色のヴェニツィア、銀色のフィレンツェとの三部作の最後の作品です。 これら三冊の本は、ミステリーと愛情物語を織り交ぜながら、歴史の舞台を面白く説明している。主人公は架空の人物だが、それと交錯する人々は史上の大人物で、その想像と史実とが綾なす世界が、塩野さんのテクニックの高さによって、とても面白く描かれている。 彼女の作品は、ともすれば教科書か歴史書のように難しいものもあるけれど、これらは実に読みやすく、この時代背景への興味を開くものとしては、有益である。
朝日新聞社
銀色のフィレンツェ―メディチ家殺人事件 (朝日文芸文庫) 緋色のヴェネツィア―聖(サン)マルコ殺人事件 (朝日文芸文庫) サロメの乳母の話 (新潮文庫) イタリア遺聞 (新潮文庫) 愛の年代記 (新潮文庫)
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