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黄泉(よみ)の王(おおきみ)―私見・高松塚 (新潮文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 226841 位
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考古学会への挑戦状
哲学会で著名な梅原氏が考古学や歴史家としては素人の著者が
「高松塚古墳の被葬者は誰であるのか」と推理していくのは学者が
書いた報告書よりはるかにおもしろい。著者の推理は、私の推理と
も違うし、多少強引なところもある。梅原氏勢いづく若かりし頃の
私見から30年以上経て美しい壁画は、被葬者が特定できないまま、
崩れていく。ここらで、梅原氏の見解が陳腐化するような、
決定的な答えを歴史学者が見出してくれることを期待したい。
考古学会に風穴を開けた1冊として評価したい。
PS 天武の皇子達の状況をある程度、把握して読まないとわかりに
くいかもしれない。
それには初心者用として天上の虹―持統天皇物語 (1) (講談社漫画文庫)
から天上の虹 20―持統天皇物語 (20) (講談社コミックスキス)がお薦めです。
高松塚論に名を借りた不比等論
梅原氏は哲学の分野で名を成していながら、歴史を中心とした謎に次々と挑み、常識を覆す新説を発表するユニークな学者。"怨霊史観"の提唱者として知られる。本作は、そんな著者が高松塚古墳の謎に挑んだもの。
梅原氏の論法は、直観推理とも言うべき帰納法なのだが、本人は演繹的だと思っている所が微笑ましい。本書も、高松塚を題材にした時点で、誰かの霊を鎮魂した塚だと言い出すと思ったが、その通りだった。高松塚古墳に対する著者の考古学的考証は隙だらけで、特に残歯に対する島氏の考証に対する批判が強すぎる割には、壁面画や装飾品に対する考察が甘い。そして、高松塚に対する謎を列挙している時点で、埋葬者に関して梅原氏の頭の中には既に"意中の人"が存在するのである。そして、その"意中の人"に合致するように、予め適合条件を作っている。結論から前提条件を導き出す梅原氏得意の手法である。更に第三章では、その"意中の人"だけを対象に万葉集中の歌を検討する。これでは、他の候補を挙げても意味がない。また、候補者を天智・天武の皇子に絞っているので、誰が"意中の人"となろうとインパクトに欠ける。「水底の歌」、「隠された十字架」より衝撃度はだいぶ落ちる。
本作の価値は高松塚の謎自身より、当時の政治状況を整理して、「アマテラス=持統天皇」であり、初めて天皇制が出来たのは天武の時だったと言い切った点であろう。私も天皇制なる制度を考えたのは鎌足・不比等父子だと考えているので、この点は賛意を表する(天智が初代と言う可能性もある)。天智と天武の血の繋がりには相当疑問があるのだが。
謎に満ちた古代に対し、"怨霊史観"によって新たな一石を投じた問題作。
高松塚古墳の被葬者を著者が推理
高松塚古墳は発見後35年以上経った平成の今日にも、誰が被葬者であるかは確定していない。だが、その現状は飛鳥時代の多くの古墳も被葬者は不確定であることから考えても今後も高松塚だけ進展し被葬者が確定される可能性は低い。
天武天皇の皇子である可能性は高いと思われるが、著者がもっていく結論には強引の感は否めない。
だが読んでいて色々な想像が頭をめぐる本だ、歴史を推理する楽しみは何物にも変えがたい。そういった意味では本書も面白い本ではないだろうか。
著者が主張する怨霊信仰。ある部分ではなるほどうならせる部分も多い。そろそろ学会も真剣に研究したらどうであろうか。
片方が言えても・・・
高松塚古墳の被葬者を推理しようとしている本です。論調は『水底の歌』『隠された十字架』等と一緒です。 怨霊信仰等を使って例のあの人が律令を使って権力を伸ばしたという内容です。高松塚古墳に残されていた壁画や人骨に対する作者の推理はかなり説得力があります。また、それに続くその当時の分析も同様です。しかし、被葬者の推定に関しては、つっこみどころが多いです。『水底の歌』よりはましですが、かなり独善的な論調なような気がするのは私だけではないと思います。
新潮社
隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫) 水底の歌―柿本人麿論 (上) (新潮文庫) 神々の流竄(ルザン) (集英社文庫) 聖徳太子 (1) (集英社文庫) 飛鳥とは何か (集英社文庫)
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